2017年12月5日火曜日

「i(アイ)」西 加奈子 (著)を読んで 書評

1 内容


残酷な現実に対抗する力を、この優しくて強靭な物語が与えてくれました。
――又吉直樹
読み終わった後も、ずっと感動に浸っていました。
なんてすごいんだろう。
この小説は、この世界に絶対に存在しなければならない。
――中村文則
『サラバ! 』(直木賞受賞)から2年、西加奈子が全身全霊で現代(いま)に挑む衝撃作!
「この世界にアイは存在しません。」
入学式の翌日、数学教師は言った。
ひとりだけ、え、と声を出した。
ワイルド曽田アイ。
その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。
ある「奇跡」が起こるまでは――。
「想うこと」で生まれる
圧倒的な強さと優しさ――
直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!
amazonより

2 感想


「アメトーーク!」(テレビ朝日系)の秋の恒例企画「本屋で読書芸人」で紹介された作品。
はじめて西加奈子さんの作品を読んだ。
アメトークで紹介される作品は秀逸なものが多い。
その上、帯に「ある奇跡」とあるせいか、ハードルを高くして読み進めてしまった。
そのため、ラストにどんな壮大な奇跡が待っているかと期待してしまい、自分のおもう奇跡との齟齬を感じた。

「渦中の苦しみがどういうことなのか、想像でしかないけれど、想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う。」

小さい頃自分の存在や友人との関係に悩んでいた自分を思い出した。
それが養子で人種も違えば、殊日本なら一層周りとは違う目線で見られてしまう。
そんな養子の女の子が自分の存在や周りとの関係に悩み苦しみながらも成長し、自分の存在を受け入れるまでになっていく物語。

結局自分の存在に悩んだだけで、何か行動を起こすのではなく自立せずに終わってしまっていて中途半端に感じた。
数字への興味は戦争やテロの死者数にしか反映されていなくて、考え方や生き方には生かされていなくて広がりが感じられなかった。
死者数に関連してシリア難民の男の子の名前を何度も出す必要性はなかったように思った。

いろいろと難点を書いてしまったが、海外養子やLGBTなど難解なテーマなのに、しっかりとした心の描写が描かれていた。

3 本の紹介

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