2017年12月29日金曜日

「幸せとお金の経済学」ロバート・H・フランク (著)を読んで 書評

1 内容

なぜ日本人は、所得が4倍に増えても幸福度が上がらないのか?
あなたの消費行動を変え、幸福度を上げるお金の新概念
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「お金では買えない価値がある」という言葉には納得するものの、 やはりお金が欲しい、できれば贅沢な暮らしがしたい、というのが人情です。
これは決して恥ずべき感情ではなく、動物としてのヒトのDNAに刻み込まれたホットシステムというべきごく自然な欲求です。
しかし格差が開いた社会、中でも中間所得層においては、 本書ではこうした欲求が不幸をもたらす可能性があると警鐘を鳴らし、 次のようなお金の新概念を提唱します。
●地位財
他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの。
幸福の持続性[低]
例:所得、社会的地位、教育費、車や家などの物的財
●非地位財
他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの。
幸福の持続性[高]
例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など
非常にシンプルながら、今まで経済学ではほとんどテーマとされなかった
この「地位財」「非地位財」という概念は、あなたを不要な競争的消費から解放し、幸福度を上げる力があります。
他人と比較したとき、あなたは中流から下流へ落ちていく
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本書の原題は『Falling Behind : How Rising Inequality Harms the Middle Class』。
日本語で仮題をつけるとすると「遅れをとらないように生きる中間所得層
――どのように不平等が中間所得層を害してきたのか」となります。
なかなか収入が増えない時代に生きる我々は、このタイトルの意図を理解することなく、幸せを手に入れることはできないのかもしれません。
中間所得層が「遅れをとらないようにすべき」なのか、 それとも「遅れをとっていること、支出を強いられていることは認識しつつ、 なるべく非地位財にお金を使う方向で生きるべき」なのか、 これについて本書は多くのことを示唆しています。
人間の本能、準拠集団による支出の強制、そして社会政策はどうあるべきか、本書を読めば間違いなく各々の所得層の立場で新しい知見を得られることでしょう。
――監訳者まえがき・金森重樹より
amazonより

2 感想

無意識のうちに参戦している不毛な競争的消費から脱出しない限り、私たちは誰一人幸せになれないという。
収入が増えない時代のコスパ最強の金銭感覚は、非地位財へのお金の配分がカギとなる。

日本もアメリカ同様、格差社会が広がりをみせる。
そのなかで収入を増やそうと皆努力するが、幸せになるには、自分にとってそれは非地位財かどうか、という点を強く意識して、限りある財の配分を行う必要があることを学んだ。
また最近の傾向として「モノ消費」から、何かを体験経験する「コト消費」へと徐々に関心は移りつつあることにも留意しておく必要があるだろう。

少し難解な日本語訳が読みづらく感じた。
広く一般的なお金の教科書として有意義だった「マネーという名の犬」と比べると、国民への政策としてどういうのが国民を豊かにするか、財の分配というマクロな視点で書かれていて個人的には得るところが少なかった。

3 本の紹介

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