1 内容
「孤児院ツーリズム」の実態とは? 手掛けるのは旅行会社やNPO 法人。子どもたちは、観光客のために可哀想な子を演じ、訪れた人々は同情を寄せて寄付やボランティアを願い出る――。 先進国と途上国、観光する側とされる側、富者と貧者、大人と子ども、それぞれの間に横たわる闇と溝に迫る。
観光客のために「孤児」を演じる孤児ではない子どもたち。その実態に斬り込んだ衝撃ルポ!潮アジア・太平洋ノンフィクション賞第4回受賞作!!
梯 久美子 絶賛!
「知るべきであるのに知らなかったことを二十代の若い書き手によって教えられ、先進国に暮らす者の無知と奢りを突きつけられた」
amazon&帯より
2 感想
本書ではじめて欧米メディアでカンボジアの孤児院問題が報道されていることを知った。
孤児でない子どもを集めた孤児院を観光コースに入れ、外国人を招き入れ寄付金を集めているとのこと。なかには売春斡旋などもあるようだ。
日本人もこのビジネスに関係する。
学生は「海外ボランティアをした」と履歴書で箔をつけるためか専門性を欠いている場合が多い。
日本人が経営するカンボジア孤児院でも、訪問者への性犯罪のチェックという「子どもの安全」と、見世物の練習が多いため「子どもの学力向上」という視点が抜けていると著者は語る。
本書を読んで、さて解決策は何だろうと考えてみた。
やはり現地の人が自国民の将来を考えて孤児院を運営していくべきだろう。
外部の寄付等に頼ってばかりでは継続性はない。
日本人もただの自己満足に過ぎないことに気づくべきだ。
東南アジアが急速に発展してきて最早日本も先進国だとウカウカしていられる状態ではない。
現にタイやベトナムでも日本人の平均所得以上に稼ぐ人も増えてきている。
日本でも所得格差が広がる中、「こども食堂」が流行っている。
これも本当に「子どものため」という観点で運営されているのだろうか?
やっている人の自己満足ではないのか?
本書の内容がひろく広まってカンボジアの孤児院ビジネスが「子どもの観点」から大幅に見直されることを期待したい。
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